Hyundai IONIQ 5 N





HYUNDAI IONIQ 5 N
そしてコマーシャルモデル?の IONIQ 5 N を使ってのサーキット走行体験。
一度に走るのは、5台、そのうちフロントローの一台はインストラクターが操るペースカー。
つまり好き勝手に走ってイイ、ということではないということ。

“ソウルトロニックオレンジパール” と呼称されるスカーレット色の一台が僕にはアサインされた。
サイドシートには先ほどとは違うインストラクター氏が乗り込み、このクルマの特徴や各スイッチの使い方をサラッとレクチャーしてくれる。
BMWのiDrive 8シリーズと同じようなタブレットを2枚並べたようなワイドなスクリーンがフロントに設置されているが、はっきりいって機能が多すぎて何がなんだか・・・
でも、すべての操作がタッチディスプレイ操作しないとならないわけではなく、エアコン等の基本操作部分は独立していて日常的な操作性はそれなりに考慮されているようにみえる。
BMWのiDrive 8ときたら・・・

Hyundai IONIQ 5 NのベースになっているICONIC 5のデザインは少しファミリィカー的なファンシーさを感じさせるけど、IONIQ 5 Nはそこから大きく変化させ、いかにもパフォーマンス・カーだということをそのアピアランス、うまくスポーツ性をアピールすることに成功しているように感じる。
とてもデザイン性が高い、と個人的には思うかな。
Nマークがセンターにフィチャーれたステアリングホイール、Nモデル専用のシートやステッチ、ボタン類がオリジナルのICONIC 5とは結構違っているんだそうだ。
そういえば、ボディカラーだけではなく、エクステリアでも、Nマークの立体的な装飾やホイールのセンター・キャップ、ディフューザーにウイングレットなどなど、エクステリアがパフォーマンスカーとしてキチンとデザインされていて、その細かなコダワリはAMG、BMW M やAudi Sports、はたまたLEXUS Fあたりのパフォーマンス・モデルよりよほどコダワっている感じ。
いささかトゥー・マッチなような気もするけど、スペシャルなモデルとしての主張は充分発揮されてる。


で、ステアリングを握って、ピットロードからレーストラックへアクセルを踏み込む。
なんの変哲もなく、といえばアレだけど、特別にナーヴァスなアクションもなく、フツーに、というか、その強大なトルク&パワーなりに一気に加速していく。
EVなので、本来はエンジンやエクゾーストなどのノイズはないはずなんだけど、車内には盛大なエクゾースト・ノートが響きわたる。
これは車内に設えられたレゾネータから発せられるらしい、そしてそのノイズはハイチューンの4気筒エンジンを模して作られたサウンドチューンだとブリーフィングの時にいってたっけ・・・


IONIQ 5 N をレーストラックで走らせてみ、これといったドラマもカタストロフィもなかった。
こう書くと、ものすごくツマらなかったように聞こえるかもしれないので補足しておけば、極めてフツーに走らせることができた。
650馬力 / 740Nmnという出力を備えたクルマであるにも関わらず。
それって、スゴいことなんじゃないかと思うんだけど、どうだろうか?
レシプロ・エンジンのクルマで、これくらいのトルク&パワーがあるクルマをフツーに走らせることができるのだろうか?
そのパフォーマンスを持つレシプロ・エンジンを積んだクルマをドライヴしたことがあまりないので、どっちがどうと、ジャッジできるほど経験がナイのがなんとも。。。

まぁ、なんにせよ、フツーにDセグメントあたりのSUVを走らせるようにレーストラックを走らせることができた、そういうこと。
BMWでいえば、M一桁モデル(M3とかM4)のようなスパルタンさはなく(とはいっても、現行G世代のMはどれもそれなりに日常使いできそうなほどフレンドリィになってはいるけど。)、Mパフォーマンスモデル(M340iとかM440i)くらいのフレンドリーさで、650馬力を愉しめる感じといえば、なんとなく伝わる?
この表現、同乗して下さったインストラクター氏も、うんうんと笑いながら同意してくれたんだが。

これには、IONIQ 5 N が履いていたピレリーのP ZEROの特性によるところも大きいのだろう。
ドリフト体験の時にも感じていたのだけど、レーシング・アスファルト上においてタイヤの剛性と限界グリップが高い感じではなく、どちらかといえば柔らかく、なだらかにグリップの限界を越えていく感覚で、滑り出しがダルでコントロールしやすく、それが安心感に繋がっているような気がする。
この僕のコメントに対し、インストラクター氏も、限界グリップそのものよりも、限界を超えたときのコントロール性にフォーカスしてこのクルマとタイヤをセッティングしてある、と説明してくれた。
なるほど・・・

EVならではのリニアな加速と強力な減速、細かな電子制御による車体コントロール、動的バランスにおいて、レシプロ・エンジンのクルマではもはや到達できない領域なんじゃないだろうか。

・・・まぁ、それが好きかどうかは別にして・・・

キレイに晴れた5月の空の下、クローズドコースで気兼ねなくクルマを走らせる。
こんな楽しいことはなかなかない。

いいイベント、いいクルマでした。

Never just drive.







IONIQ 5 N Track day by HYUNDAI
Hyundaiのパフォーマンス・ブランド “N” そのBEV、IONIQ 5のハイパフォーマンス・ヴァージョン、IONIQ 5 Nの日本導入のプレ・イベントとして開催された “IONIQ 5 N Track day by HYUNDAI” に招待していただいた。

よく晴れた金曜日の午後、首都高速道路のいつもの渋滞を抜け東京湾の下を抜け、対岸の袖ケ浦へ。
これくらいの距離に気軽に走ることができるサーキットがあるって、とてもステキなことだと思う。

袖ケ浦フォレストレースウエイの北ゲートから入りトンネルをくぐるとそこはもうサーキット・パドック。
指示に従いクルマを駐め、促されるまま研修棟ガレージに入ると、そこはHyundaiがリリースする新しいクルマのために設えられた世界だった。

Hyundai、IONIQ 5、そして “N” のブリィーフィングをひとしきり受け、さぁ、サーキット・エクスペリエンスへ。
先ずは、パドックに水を撒き低ミュー路に仕立て上げられたスペースでのドリフト体験と実践。
ヘルメットとグローヴ、そしてドライヴィング・シューズを装着して、ロールケイジが組まれたドリフト仕様?の “IONIQ 5 N” へエスコートされサイドシートに収まる。
デモンストレイター氏と短い挨拶を交わすと、彼は一気にスロットルを 踏み込んだ。
このスペシャルな個体が、どれほどの軽量化を施されているのか聞き忘れたのが残念だけど、そのスタートダッシュはちょっとした事件だった。

そしてスタンダード仕様? IONIQ 5 N へ乗り換え今度は自分でステアリングを握り、低ミュー路でのローンチコントロールを効かせてのフルスロットルからのフル・ブレーキング、パイロンを使ったドリフト・コントロール。
おぉッ? これはちょっと驚いた。
これまでこの手のイヴェントにいくつか参加させていただいた経験もあり、冬の女神湖での氷上ドリフト練習だったりと、自分のクルマだったり、いくつかのメーカーのハイパフォーマンス・モデルで低ミュー路でのドリフト体験をしてきたけど、この IONIQ 5 N はそれらどのクルマよりドリフトがしやすく、そしてコントロールしやすいクルマだった。
僕がステアリングを握ったのは、スタンダード、つまり市販バージョンの IONIQ 5 N、先述のサイドブレーキがついたドリフト仕様のスペシャル・バージョンではない。

で、何に驚いたといえば、ドリフトさせた時の IONIQ 5 N の穏やかなコントロール特性。それは650馬力 / 740Nmnそして2200kgオーバーの車重から受けるイメージからすると拍子抜けするくらいフレンドリィに操縦できる。
実際に走らせているときからなんとなく感じていたことだけど、これって、もしかして、EVだからなのか?
きっとそうだ、これはEVならではの操縦性なんだ、と今になってハッキリと思う。
レシプロエンジンのように、回転数を上げるにしたがってプログレッシヴに立ち上がるパワーとトルクとは違う、アクセルを踏んだ瞬間にラグなくリニアに立ち上がるパワーとトルク、それはドリフトに持ち込む時も、一瞬にしてスライド状態に移行できる。しかしそれ以上に肝心なのは、スライドしているときのコントロール。これがレシプロエンジンだとエンジンの回転数の増減によってトルクが変わってくるから、一定の状態でスライドさせるのって結構ムツカシイ。
それがEVだといつでも一定のパワーとトルクをリニアに呼び出せるから、エンジンの回転数とか過給器の効き具合とか、ギアポジションとか考える必要がなく、アクセルとステアリングだけに意識を集中することができることになる。
つまり、レシプロエンジンだと、いくつもの要素を常に考えながら(もしくは無意識にアジャストしながら)ステアリングとアクセルを操作しないとならいけど、それがEVだとステアリングとアクセルのことだけ考えればいいから、そのぶん余裕が生まれる、もしくはその処理能力の余裕を他ごと、たとえば周囲を見わたしたり、次のパイロンへのアプローチを考えたりとかに使うことができる。
それはドライヴァーへのストレスを減少させ、リラックスきることによりリスクを少なくでき、より安全性が上がると。

もちろん、 IONIQ 5 N のサスペンションとかディファレンシャルのセッティングがとか、メカニカルと電子制御系のチューニングが優れているということもあるんだろうけど。。。

EVならではのアドヴァンテイジ。
これずいぶん前にテスラのモデルSを初めてドライヴした時にも感じた。
エキゾーストノートのない暴力的な加速とトルク感、慣れは必要だろうけどワンペダルで出し入れできるスピード・コントロール。
これが、このプライスで実現できるなんて、スゴいことなんじゃないか?

レシプロエンジンの時代はそのうち終わるんだろうな、当時そう感じた。
今回走らせた IONIQ 5 N の膨大な電子制御によるコントローラブルな特性と動的質感、これってEVならではなんだろうな、と。。。

BMW M440i xDrive Gran Coupe






BMW M440i xDrive Gran Coupe
4シリーズの4ドア・グランクーペ (G26) を借りだして、3日間、距離にして約500kmほどを走らせることができた。

BMWのクルマって、歴代モデルをそれぞれに試乗程度に走らせたことはあるけど、友人のBMWのサイドシートではなくって、自身でステアリングを握ってそれなりの距離をじっくりドライヴしたのは初めてになるかな。。。

Dセグメントのサイズ感で、ベースになるのは3シリーズ。以前から3シリーズには4ドア・セダン、5ドア・ツーリング(ワゴン)そして2ドア・クーペ、あとオープントップのカブリオレがラインナップされていたのだけど、前モデルのF型から2ドア・クーペを独立させて4シリーズとしてあらたにラインアップを増やしてきた。
それもひとえに同じジャーマンブランドのアウディが、A4派生のクーペスタイルのスペシャリティをA5シリーズとして展開したから、それに対向するためにBMWは4シリーズをリリースしたんだと思ってる。

で、2代目となった4シリーズ・グランクーペ。先にリリースされてる兄弟モデルの3シリーズとは、その見た目、そして乗り味もけっこう印象が違ってる。
先代のF36型に比較して、ワイドにロングになりボディが大型化しているのは、まぁ、セオリー通り?正常進化なのか?

ジャーマンスリーのDセグメントのなかで、BMWのクルマが一番スポーティだというイメイヂが従来からあった。
それは “駆け抜ける歓び” のスローガンに込められたスポーティネスに拘ったBMWのクルマ造りのフィロソフィーとそのマーケティングに依るところが大きいのだろうと思うけど、バラスト積んででも、なにがなんでも50対50にこだわる前後重量配分や、元気のいいエンジン、ハードめなアシ廻りのセッテイング、そして引き締まったボディ、ちょっとチープな内装・・・
そんなBMWのイメイヂがF型から少し変化し、G型と呼ばれるこの3/4シリーズは明確に変わったように感じる。大きく、伸びやかに、豪華に、、、つまりメルセデス・ベンツやアウディと一緒じゃん・・・

それは他社の同セグメントのモデルに対向するための変化、そういうことなんだろうか?

まぁ、それはそれとしてこのG26型、440i Xdrive グラン・クーペを走らせる。
今どきな液晶メーターパネル、太いステアリング・ホイール、タイト目なホールドのシート、確かに、わかりやすくスポーツを演出してるんだろう。
そしてシルキー・シックスと称えられる、B58型、3.0リッター直列6気筒DOHCターボチャージド・エンジン。
このエンジンは速い。
もちろん、S58型と呼ばれるM専用エンジンには較べるまでもないんだろうけど、そのベースとなるこの3リッターエンジンはよく奔る。

どちらかというと、大きく重くどっしりとシックでコンフォートな雰囲気を纏っている剛性の高いシャーシは、そのポテンシャルの高さとは別に、サイドシートにご婦人を乗せて、ショーファー・ドリブンよろしくマッタリとした ドライヴを許容する。
だけど、このB58型エンジンは、軽い回転フィールでどんどん速度を上げていくし、そして気がつけばちょっとイロイロとヤバいゾーンに達していたりする。
そこはちょっと気をつけよう。。。
19インチのホイールにピレリのスポーツ系のランフラット・タイヤがなんとも。そんなハード寄りなセッティングにみえるアシ廻りだけど、これが意外にもしなやか。
けっこうゴツゴツするんだろうな、なんて思ってたけど、そのイメージに反して案外乗り心地悪くない。

これは後から聞いたハナシなんだけど、この車両にはアダプティブMサスペンション(いわゆるセミ・アクティヴ・サスペンション)が標準装備されているらしく、この電子制御式の可変ダンパーを持つサスペンション・システムがいい仕事をしているらしい。

これが “駆け抜ける歓び” をうたうBMWとして、スポーツするラグジュアリーのためへの回答、それがG型モデル、そういうことでいいのか?

あとADAS関連は、今どきのレベル2。
ではあるけれど、自動で50mほどバックしてくれたり、高速道路でステアリングから手を離すことができたり、いろいろと制限付きではあるけれど、BMWならではという特徴をだしてきている。
便利機能はなければないでなんとかなるけど、あるにこしたことはないかな。実際夕方の高速道路の渋滞に捕まったとき、ステアリングに手を添えていなくていいのは、それなりに、まぁ楽だった。

このあたりはメーカーによってできることや、その制御に多少の違いはあるけれど、コンポーネントを供給しているサプライヤーや各国のレギュレイションによって、今後も進歩していくはずだろうし、というか、クルマが進化していく方向としては、ゼロ・エミッション化とインテリジェンス化しか当面ないだろうから、現時点での中途半端さを嘆いても仕方ないし、あったらあったで便利だね、くらい鷹揚にかまえておくのがいいんじゃないだろうか。

あるとき写真を整理しているなかで、当初このクルマに感じてたい違和感の正体らしきものを掴んだ。
このグランクーペ、ボディの上下方向に厚みがあり、クーペというより、最新のトヨタ・クラウンにも通じる“クロスオーバー” 的なファットな雰囲気を持っているように感じる。
つまりクーペというには、なんというか、その、まぁ、ありていにいってしまえば “デブ” にみえるんだね。

これは、4シリーズの2ドアクーペがモデルチェンジしたとき、先代からすると大きなクルマになったな、といった印象だけだったのに、それから遅れて1年ほどしてアナウンスされたグランクーペの写真をみたときに感じた、ん?、なんか感じが違うな?
あらためて、2ドア・クーペとこのグランクーペ、そしてBEVのi4のスペックシート、ついでにアウディ・A5シリーズのソレを詳細に比較してみると・・・

ああぁ、そいうことか、この違和感が自分的に腑に落ちた。
つまりグランクーペは、2ドアクーペの4ドア版ではなく、i4のICE版だということだった。

現代のDセグメントのスペシャリティとして、このG型グランクーペはそつなく良くできたクルマに感じられる。
その独特なメーターデザインや、サイドのキャラクタラインの位置や、なぜかフラップタイプになったドアハンドル、そのちょっとなんというか、チャビイなボディや、イロイロと不満はある。
だがしかしだ、それら不満のどれもがとても些細なコトに思えるほど強烈なのが、あの巨大なフロントグリル。
“バーティカル・キドニー” とBMWが呼ぶグリルデザインがリリースされてそれなりに時間が経った、いつか時間が経てば慣れるかも、そうポジティヴに思おうとしたこともあった、、、しかし、やはり僕には受け入れることはムツカシイ。

とてもいいクルマなんだけどな。。。