north america total solar eclipse

2017年8月21日。
ここアメリカは、皆既日食のイヴェントで一色だった。
クライマックスをケンタッキー州で体感することができた。

2009年、僕は東京でオンエアされた皆既日食の中継を観ていた。
その当時、民放も含めて多くの放送局が皆既日食イヴェントをオンエアしていたような気がするけど、NHKのオンエアしか僕の記憶には残っていない。

オンエアの中でロケイションに選ばれていたのは硫黄島だった。
太陽が月に隠されていくにつれて、観測場所の周囲がどんどん暗くなっていき、そのピークである皆既日食時には、中継リポーターは完全にシルエットになっていた。
しかし、皆既日食の影響の範囲を外れているだろうと思われる遠景は明るく照らされていて、中継現場のシルエットとのコントラストがなんとも神秘的な美しさで、強く印象に残った。

あの時見た映像の “ゾクゾク感 ” を味わいたくて、クルマを走らせた。
そして、ひらけた場所を捜してたどり着いた先、そこはオベリスク様のモニュメントが空に向かって屹立する小さな村だった。

時が満ちた。
月が動き、太陽が欠けていくと、辺りは急速に暗くなっていった。
月によって、太陽が完全に隠されたとき、僕の周囲は完全に暗くなった。
太陽の光を失った僕の周りの気温は、すうっと体感できるほど下がった。
ひと呼吸おくように、強く風が吹いた。

摂氏30度を超える、蒸し暑い真夏のナチュラル・アート・イヴェント。

Hopkinsville

ホプキンズビル、ケンタッキー州にある人口3万人ほどの小さな町。
日本人の多くには馴染みのない地名なのではないかと思う。
2017年、この夏の皆既日食のことを知るまでは、僕もまったく知らない町だった。
という以前に、ホプキンスビルのあるケンタッキー州にアシを踏み入れたこともなかった。
真夏に訪れたその小さな町は、アメリカ中南部の小さな町の趣そのままで、僕にとっては、かつて住んでいた南部の町、ニューオリンズの暑さと湿気を感じさせるある種の懐かしさに満ちていた。

普段は本当に静かな町なんだろう。
しかし、アメリカ合衆国で観測される日食としては38年ぶり、しかも北米大陸を横断するように観測できるのは99年ぶりという、壮大なスケールの自然イベントにおいて、このホプキンスビル周辺は、日食期間中でもGE(Greatest Eclipse)と呼ばれる、皆既日食が最大となるポイントになっているということで一躍全米中の注目の町となったばかりに、ソレ目当ての観光客が大挙して訪れて、一種のお祭り騒ぎのような盛り上がりをみせていた。
・・・まぁ、僕もその一人ではあるんだけど。。

町の中心部では皆既日食当日に向けて、道路を封鎖して様々なイベントを開催していて、ここぞとばかりにTシャツや記念グッズを扱うストリートベンダーが観光客によって賑わっていた。

それはそれはとても蒸し暑い、8月のアメリカ中南部らしい1日だった。