Mt. Kita-yoko-dake






北横岳、関東在住の雪山初心者が最初に歩く山。
そんな感じで紹介される山。

雪山シーズンに入って何度か山に入っているんだけど、天気予報に反してブリザードだったり、ガスだったりで、毎回キビしいコンディション。

あぁ、晴れた雪山を歩きたいな・・・

そんな時は、ココだ、北横岳。
天気予報とライブカメラの情報から、うん大丈夫。

北八ヶ岳ロープウエイでワープして、いきなり標高2237メートルの坪庭へ。
チェーン・スパイクを装着してスタート。
冷たい大気、ゆっくり歩きながら高度を上げていく、できるだけ汗をかかないように。
北横岳ヒュツテのベンチに腰かけてモンベルのサーモボトルに入れてきたコーヒーでホッとひといき、クランポンに履きかえて、ピークへの急登へ。

たどり着いたピーク、そーだろうと思ってはいたけど、暴風。
南峰、そして北峰、キーンと冷たい大気、凍えるほどキモチイイ。
この空気、この美しき風景。

暴風から逃れ、来た道を戻っていく途中、なぜか「瑠璃色の地球」という曲がアタマのなかでグルグル回ってた。

Kamuy Mintar -the playground of the gods.-





ずいぶん歩いてきた。
少し疲れたな。
360度、全てを見渡せる開けた場所で、バックパックを肩から外す。
ナルゲンから水を、喉を潤して、アミノバイタルを摂る。

ここならイイ、かな。
ソニーのインイヤーヘッドセットを耳に。
iPhoneをタップしてミュージック。

From the New World -新世界より-
iPhoneのランダム再生がなせる偶然、この場所で、この風景で、いきなりこんな曲がくるか。
ちょっと震えた。
ドヴォルザークがアメリカに観た風景は、どんなだっただろう。
「この作品は以前のものとは大きく異なり、わずかにアメリカ風でもある。」そう、友人に宛てた手紙に書いたらしい。


-カムイミンタラ-
アイヌの言葉で、「神々の遊ぶ庭」という意味なんだそうだ。

こんなところが、こんな風景があるんだ・・・
すごいな北海道。

Mt. Asashidake -accomplished-






山荘に帰りつき、装備を解いて、温泉に浸かりながら山の状況を振り返る。
アレで良かったんだ、撤退の判断は間違ってなかったんだ・・・
納得させる。

お風呂から上がり、洗濯をするためにフロントに声をかける。
今日のコンディションはかなり厳しかったでしょ?と。
明日はどうかな?
お天気は回復方向の予報になってるし、ここ数日では期待できるかも。

明日スペースに余裕がある?
しばし、台帳をめくった後、一つベット空きががでてますね、いまのスペースそのままでいけますよ、と。

一瞬迷った、もう一泊お願いします。
クチが勝手に喋っていた。

「今夜は、今夜しかないのさ。」
その昔、白井貴子がパーソナリティをやっていたオールナイトニッポンでキャチフレーズとして使ってた。
次に旭岳を訪れることができるのがいつになるのか?
来年の夏も北海道にはやってくるだろう、たぶん。
しかし、その時にコンディションがイイとは限らない、いろいろな意味で。
なら、明日の可能性にベッドしてみるのもイイんじゃないか・・・

「今夜は、今夜しかないのさ。」
旅のスケジュールを変更して、もう一泊この山荘にお世話になることにした。

キレイに晴れた翌日。
姿見駅で昨日と同じように装備を整えてスタート。
風は強く、気温は低め。
レインギアこそ着けていないけれど、装備は昨日と同じ、晩秋の装い。
旭岳石室を越えて、登山道へ。
6合目、7合目、そして昨日撤退した8合目を過ぎる。
とにかく風が強い。ときどき身体を屈ませてやりすごさないとそのままm飛ばされてしまうんじゃないか、そんな恐怖を感じる。
風速だけなら昨日より強いかも。
しかし、視界が開けていて周囲が見渡せる。
それだけで、気分がぜんぜん違ってる、前に進もうという気になる。

風の影になる大きめな岩をみつけては一休みしようと思うんだけど、そんなスポットはすでに誰かがいて、まったくアシを停めることができない。
ようやく一息つけたのは、9合目のサインがある大きな岩のあたり。
バックパックを下ろし、水分を補給する、ふぅ人心地つけた。

たどり着いたピークは、ここまでの急登がなかったようにフラットで、風が強くて雲が早く流れ、晴れてはいたけれどまぁまぁ寒い。
静かに三角点にタッチ、ありがとう。

少しだけ風をかわすことができるとことに下がり、バックパックを降ろし、山荘で持たせてもらったおにぎりを頬ばる。
うんまい、サイコー!