Turbo blue.







Audi TT Roadster 45 TFSI quattro
“ターボブルー” この鮮やかな空と海を映した彩りがなんともステキ。

アウディ = “TT” だった、アイコンだった、僕にとって。

TTシリーズ、その3世代に渡るコンパクト・クーペの歴史に幕が降ろされる。
1998年に登場した初代 “8N” は、それはそれはインパクトだった。
この初代TTクーペをみて “アウディ” というブランドを好きになった。

初代 “8N” には乗ったことがないけれど、2代目 “8T” 、3代目 “8S” はTTSやTT-RSも含めてそれぞれ何度かドライヴしたことがある。
その度に “TT” を自分の乗るクルマにしようとした。
しかし、当時のライフスタイルは、それなりにカーゴスペースが必要で、しかもそれは外せない要素で、なかなかTT購入へ踏み出せずにきた。
そして歳月が流れ、状況も変わり、そろそろコンパクト・クーペに乗ってもいいかと考えるようになった。
だが、しかしアウディはTTシリーズの廃止を決定したみたい。

3代目のTTである “8S” は “TT” ではあるけれど、その始祖である “8N” が唯一無二のオリジンだったものから、アウディ・スポーツのフラッグシップである “R8” との類似性を持たせようとしているように感じる。
例えば、フロン周りのデザインがTTの特徴であった丸みを帯びたモノから、R8のような低くシャープなデザインになっていたり、アウディの “FourRings” エンブレムがフロントグリルではなく、ボンネットフードにセットされていたり・・・
それまではアウディのラインナップのなかで、ボンネットフードに “FourRings” エンブレムがあるのはR8だけだったハズ。
つまり、アウディは、“TT” という類い稀なるオリジナルを、ブランディング上の理由か何かで、スーパーカーである “R8” との共通性を持たせ、よりプレミアム性を高めようとしたかったんだろうか。

もちろん、これはまぁ、ただのインファレンスでしかないのだけど・・・

そうだとすれば、ソレは間違いなく、マチガイだった、そう思う。
アウディは “TT” をオリジナルとして、TTシリーズだけのブランドを大切に育むべきだったんじゃないかと思う。例えシャシーがA3や、フォルクスワーゲン Golf と同じMQBになって、その独立性が薄らいだとしても、それでも “TT” はその類い稀なるオリジナルなデザインを持ち、それのみによってその存在を赦された存在なのだから。
決して、ポルシェ 718ケイマン/ボクスターをライバルに見立てる必要なんてないし、そこまでのスペックも必要ないし、“TT” はただ “TT” (プライスも含めて)であればよかったんじゃないか、そう思う。

ターボブルー。
いままでアウディのweb-siteでみたときも、ディーラーで現車をみたときも、それほど気に留めることもなかった。
しかし、初夏の空の下でこのカラーを走らせてみると、それはとても素的だった。
空と海の狭間のの世界、現実の色彩と少し違ったポップに映えるブルー。
このクルマならではのフィーリングと雰囲気があって、とてもご機嫌に走らせることができた。

・・・クロノスグレーの車体にブラックスタイリングパッケージを纏った662,762台目のTTS、その個体が25年に渡るTTシリーズ最後のモデルとしてハンガリィの工場でロールオフされた、そうAudi AG.より公式にアナウンスされた。

Audi A5 Sportback 35 TDI advanced







Audi A5 Sportback 35TDI advanced
アウディのDセグメントにおけるスペシャリティ、A5シリーズ。
2ドアクーペ、5ドア・スポーツバック、2つのボディタイプがラインアップされている。
(当初はカブリオレもラインナップされていたけど、FL(フェイス・リフト)のタイミングで、日本のカタログから姿を消した。)
今回はスポーツバックを借りだして数日間、都心からワインディング、高速道路まで約600kmほど走らせる機会を得た。

ドライヴしたのはAudi A5 Sportback 35 TDI advancedというモデル。俗に “B9” と呼ばれる現行モデルのアウディいうところのFL(フェイス・リフト)つまりマイナーチェンジされた、所謂モデルライフの後半を担う、“B9.5” 後期モデルというヤツになるだろうか。
そのなかでも、日本で展開しているA5スポーツバックのグレードの中では最も廉価な35TDIと呼ばれる、2リッター・ターボディーゼル。

実のところ僕は、先代(初代)A5 Sportback、俗にいう “B8” と呼称されるアウディA5に6年間ほど乗っていた。
だから、当然のようにこのモデルチェンジした新型の “B9” シリーズには興味があった。

シャシー、エンジンそしてギアボックス、MLBからMLB Evoとその進化版ではあるけれど、先代と基本的に同じコンポーネント。
当然といえばそうだけど、なのでディメンション含めクルマの組成は大きくは変わらない。
しかしだ、それにもかかわらず、走らせてみるとすべてにおいてファイン・チューンされ熟成された洗練さを感じることができる。
特に “B8” のときは、S-tronic(Dual Clutch Transmission – DCT)特有というのか、そのマニュアル・ライクなトランスミッションの特性から、低速域でのアクセラレーションにかなり気を使う必要があった。
都心のストップ・アンド・ゴーと渋滞による微妙なアクセラレーションが要求されるときには、かなりギクシャクする。
まるで自分の運転がスゴくヘタにになったように感じていた。
それが、この “B9” になってから、まるでトルクコンバータ式のATのように使うことができるようになった。
もちろん、S-tronicならではのマナーはいまでもあるけど、それでもご婦人をサイドシートにエスコートしてドライヴするときに、それほど神経をスリ減らさなくてよくなった。
それだけでもドライバーの疲労度が変わってくるんじゃないかな。

“B8” から “B9” のA5 スポーツバックになって一番大きな違いは、乗車定員が4人から5人になったことだろうか、と個人的には思う。
先代の時は、バックシートにヘッドレストやシートベルトが2セットで、クーペだしこんなもんだよね、と思っていたけど、この2代目になってなぜかソレらが3セットになって3人座れるようになってる。いずれにしてもセンタートンネルがあるわけで、この真ん中のシートに人が座るなんて考えにくいんだけど、それでもどうしても5人乗りじゃないと困る、というユーザーがそれなりにいるということなんだろうか?
それなら兄弟車のA4セダンなりワゴンなりチョイスすればいいんじゃないかと思うが、それだってヘッドクリアランスが多少A5 スポーツバックより広いだけで、同じようにセンタートンネルがあるわけでレッグ・スペースは変わらないはず。
どうしてこうなった。。。

エンジンについて触れれば、あのディーゼル・ゲートによってなのか、日本への導入が他社に比べて遅れることになったフォルクス・ワーゲン/アウディのディーゼル・エンジンを載せたこのクルマ。
まぁ、ディーゼルだよね、って感じの振動と音を車内にいてもちゃんと伝えてくる。
ディーゼルのイメージ通りといえばいいのか、低速域でのトルクフルな加速、しかしレヴ・リミットをヒットさせるようなドラマはなく、早いタイミングでのシフトアップのほうが、平和で速い。

しかし、同じA5という名前ながら、B9シリーズとB8シリーズではそのアピアランスはずいぶん印象が変わったように感じる。
和田智氏がワルダー・デ・シルヴァ氏のもとデサインした初代A5シリーズはシンプルにモダンで、それでいてどこかクラッシックなエレガンスを表現したクーペスタイルだった。
“B9” A5シリーズ” は基本的にはコンポーネントに変化のないキープ・コンセプトであるわけだから、すべてにおいて大きく変わりようがない。これがレクサスなら、ISのようにビック・マイナーチェンジというかもしれない。
初代 “B8” A5シリーズは、エレガントだった。そしてこの “B9” A5シリーズは、エレガントさを残しながらもかなりマッシヴなイメイジなったように感じる。
より大きくワイドになったシングル・フレーム・グリル、キャラクターラインはじめ、すべてのエッジがシャープに強調されたプレスライン。
ソフィスティケイトされたエレガンスより、なんというか不透明感が増した昨今、よりマッシヴなワイルドさが求められる、時代的な要求によるものなんだろうか。

あと、細かなことをいえば、ルーフにあるアンテナ。通称 “シャークフィン” これがなぜかブラック。
ボディはアイビスホワイトなのに。
コレ、中の人によると、ボディカラーに関係なくアンテナをブラックにすることによって、“みえなくなる”、ということらしい。
これはこのA5スポーツバックに限らず、MY2019モデルあたりからの全アウディのモデルがそうなっているらしい。
なるほど・・・そんなわけないだろ!!と個人的には思う。
パッとみ、誰にでもわかるこの部分に限らず、いろいろとコストダウンが図られているのが窺えてしまうのは、仕方ないんだろう、な。。。

でも、それでも、“B9 A5シリーズ” は進化し良くなってる、そうハッキリと感じる、先代と較べると。
あたりまえといえば、まぁ、そうなんだろ、じゃないとユーザーはリプレイスしてくれないしね。
でもしかし、それは先代比ということで、ライヴァル陣の進化と較べるとどうなんだろうね。

BMW M440i xDrive Gran Coupe






BMW M440i xDrive Gran Coupe
4シリーズの4ドア・グランクーペ (G26) を借りだして、3日間、距離にして約500kmほどを走らせることができた。

BMWのクルマって、歴代モデルをそれぞれに試乗程度に走らせたことはあるけど、友人のBMWのサイドシートではなくって、自身でステアリングを握ってそれなりの距離をじっくりドライヴしたのは初めてになるかな。。。

Dセグメントのサイズ感で、ベースになるのは3シリーズ。以前から3シリーズには4ドア・セダン、5ドア・ツーリング(ワゴン)そして2ドア・クーペ、あとオープントップのカブリオレがラインナップされていたのだけど、前モデルのF型から2ドア・クーペを独立させて4シリーズとしてあらたにラインアップを増やしてきた。
それもひとえに同じジャーマンブランドのアウディが、A4派生のクーペスタイルのスペシャリティをA5シリーズとして展開したから、それに対向するためにBMWは4シリーズをリリースしたんだと思ってる。

で、2代目となった4シリーズ・グランクーペ。先にリリースされてる兄弟モデルの3シリーズとは、その見た目、そして乗り味もけっこう印象が違ってる。
先代のF36型に比較して、ワイドにロングになりボディが大型化しているのは、まぁ、セオリー通り?正常進化なのか?

ジャーマンスリーのDセグメントのなかで、BMWのクルマが一番スポーティだというイメイヂが従来からあった。
それは “駆け抜ける歓び” のスローガンに込められたスポーティネスに拘ったBMWのクルマ造りのフィロソフィーとそのマーケティングに依るところが大きいのだろうと思うけど、バラスト積んででも、なにがなんでも50対50にこだわる前後重量配分や、元気のいいエンジン、ハードめなアシ廻りのセッテイング、そして引き締まったボディ、ちょっとチープな内装・・・
そんなBMWのイメイヂがF型から少し変化し、G型と呼ばれるこの3/4シリーズは明確に変わったように感じる。大きく、伸びやかに、豪華に、、、つまりメルセデス・ベンツやアウディと一緒じゃん・・・

それは他社の同セグメントのモデルに対向するための変化、そういうことなんだろうか?

まぁ、それはそれとしてこのG26型、440i Xdrive グラン・クーペを走らせる。
今どきな液晶メーターパネル、太いステアリング・ホイール、タイト目なホールドのシート、確かに、わかりやすくスポーツを演出してるんだろう。
そしてシルキー・シックスと称えられる、B58型、3.0リッター直列6気筒DOHCターボチャージド・エンジン。
このエンジンは速い。
もちろん、S58型と呼ばれるM専用エンジンには較べるまでもないんだろうけど、そのベースとなるこの3リッターエンジンはよく奔る。

どちらかというと、大きく重くどっしりとシックでコンフォートな雰囲気を纏っている剛性の高いシャーシは、そのポテンシャルの高さとは別に、サイドシートにご婦人を乗せて、ショーファー・ドリブンよろしくマッタリとした ドライヴを許容する。
だけど、このB58型エンジンは、軽い回転フィールでどんどん速度を上げていくし、そして気がつけばちょっとイロイロとヤバいゾーンに達していたりする。
そこはちょっと気をつけよう。。。
19インチのホイールにピレリのスポーツ系のランフラット・タイヤがなんとも。そんなハード寄りなセッティングにみえるアシ廻りだけど、これが意外にもしなやか。
けっこうゴツゴツするんだろうな、なんて思ってたけど、そのイメージに反して案外乗り心地悪くない。

これは後から聞いたハナシなんだけど、この車両にはアダプティブMサスペンション(いわゆるセミ・アクティヴ・サスペンション)が標準装備されているらしく、この電子制御式の可変ダンパーを持つサスペンション・システムがいい仕事をしているらしい。

これが “駆け抜ける歓び” をうたうBMWとして、スポーツするラグジュアリーのためへの回答、それがG型モデル、そういうことでいいのか?

あとADAS関連は、今どきのレベル2。
ではあるけれど、自動で50mほどバックしてくれたり、高速道路でステアリングから手を離すことができたり、いろいろと制限付きではあるけれど、BMWならではという特徴をだしてきている。
便利機能はなければないでなんとかなるけど、あるにこしたことはないかな。実際夕方の高速道路の渋滞に捕まったとき、ステアリングに手を添えていなくていいのは、それなりに、まぁ楽だった。

このあたりはメーカーによってできることや、その制御に多少の違いはあるけれど、コンポーネントを供給しているサプライヤーや各国のレギュレイションによって、今後も進歩していくはずだろうし、というか、クルマが進化していく方向としては、ゼロ・エミッション化とインテリジェンス化しか当面ないだろうから、現時点での中途半端さを嘆いても仕方ないし、あったらあったで便利だね、くらい鷹揚にかまえておくのがいいんじゃないだろうか。

あるとき写真を整理しているなかで、当初このクルマに感じてたい違和感の正体らしきものを掴んだ。
このグランクーペ、ボディの上下方向に厚みがあり、クーペというより、最新のトヨタ・クラウンにも通じる“クロスオーバー” 的なファットな雰囲気を持っているように感じる。
つまりクーペというには、なんというか、その、まぁ、ありていにいってしまえば “デブ” にみえるんだね。

これは、4シリーズの2ドアクーペがモデルチェンジしたとき、先代からすると大きなクルマになったな、といった印象だけだったのに、それから遅れて1年ほどしてアナウンスされたグランクーペの写真をみたときに感じた、ん?、なんか感じが違うな?
あらためて、2ドア・クーペとこのグランクーペ、そしてBEVのi4のスペックシート、ついでにアウディ・A5シリーズのソレを詳細に比較してみると・・・

ああぁ、そいうことか、この違和感が自分的に腑に落ちた。
つまりグランクーペは、2ドアクーペの4ドア版ではなく、i4のICE版だということだった。

現代のDセグメントのスペシャリティとして、このG型グランクーペはそつなく良くできたクルマに感じられる。
その独特なメーターデザインや、サイドのキャラクタラインの位置や、なぜかフラップタイプになったドアハンドル、そのちょっとなんというか、チャビイなボディや、イロイロと不満はある。
だがしかしだ、それら不満のどれもがとても些細なコトに思えるほど強烈なのが、あの巨大なフロントグリル。
“バーティカル・キドニー” とBMWが呼ぶグリルデザインがリリースされてそれなりに時間が経った、いつか時間が経てば慣れるかも、そうポジティヴに思おうとしたこともあった、、、しかし、やはり僕には受け入れることはムツカシイ。

とてもいいクルマなんだけどな。。。