Audi A1 Sportback 35 TFSI S Line







Audi A1 Sportback 35 TFSI S Line
アウディのラインアップの中で最もコンパクトなモデル、一般的にBセグメントにカテゴライズされてるクルマ。
そんなクルマを3日間、市街地からはじめて高速道路、ワインディングを約350kmほど走らせた。

そのコンパクトなボディサイズのおかげで都心の狭い道路や渋滞時のハンドリングはすこぶる良好。
1200Kgプラスの車重に、150PS/250Nmを発生する1.5リッター、ガソリン・ターボ・エンジン。高速道路を含め常識的に走らせるにはなんの不足もない。
ワインディング・ロード、それこそ中低速タイトターンがメインの日本のワインディングだと、このサイズのクルマはクルクルとストレス小さく走らせることができる。
とはいっても、そのコンパクトなサイズからくるネガティヴ・ポイントがないわけではない。
17インチのホイールに扁平率45%のタイヤ、バンピーな路面でのビビットな突き上げやバタつき、トレーリングアームなサスペンション・システムの特性相応、まぁ、こんなもんなんだろう。
でも、それってサイズなりのサスアーム長やコストの制約によるセグメントなりの特徴といっていい範囲のものかもしれないので、最終的にクルマに何を求めるかによって変わってくるポイントといっていいのかも。

どれほどディジタル・テクノロジーが進化していったとしても、セッティングだけではどうにもならないところはあるんじゃないかなと。
物理的な制約を超越することができない、と僕は思ってる。

3代目TTからはじまった “ヴァーチャル・コクピット” も新しい世代になったのか、いくぶんハイレゾリューションになってグラフィックも現代のトレンドに沿って、よりてフラットデザインになってる。
ヘッドライト、テールライトのストロボライン、シングルフレームグリル、ルーフ・エンド・スポイラーといったコスメティックのシャープなデザイン、 ドア・インナーハンドルやダッシュボード、コクピット周り、すべてディテイルが一つのコンセプトに従ってデザインされていて、このコンパクトなクルマに統一感を与えている。
別の見方をするなら、こういうのがブランドとしてのコストのかけかた、なのかな。

とはいっても、かつてのアウディ・スポーツ・クワトロをオマージュしたといわれるフロントボンネット先端部のデザイン、それはアウディがイメージしたほどのインパクトはないんじゃないかと思う。
というより、なんのギミックもないスリットなんかただのアクセントにもなってなくて、それならいっそ、なかったほうがいいんじゃないか。

あと、ADAS関連のドライヴァー・サポートは、時代なりレヴェル2をクリアしていて、今どきの装備。
しかし、“quattro” (4輪駆動)が設定されていないのは アウディとしては片手落ちだろ?

100年に一度と表現されるクルマ社会の変革期において、テスラを筆頭としたニューカマーに対向するために、従来からあるブランドがそのヘリティジに依拠したモチーフを用いるのは、それなりに理解はできる。
新興ブランドは逆立ちしてもそんな演出できないからね。

・・・だけど、それでも、 “技術による先進” をスローガンに掲げるアウディには過去の遺産に頼るのではなく、新しい何かのアプローチを期待してしまうのは、ココのクルマに2台続けて乗っている僕の願望なのだろうか。

いずれにしても、MQBシャーシになったこの2代目、初代A1からそのデザインコンセプトを大きく変更して、他のアウディ・ラインナップとの整合性を図り、ロー・アンド・ワイドにシャープなクルマになった。
ボディとルーフのカラーを塗り分けたバイカラーもソレを際立たせてる。

個人的な嗜好でいえば、先代のデザイン・アプローチのほうがイイかな。。。

Renault Megane R.S.






ルノー メガーヌR.S.
ドイツのニュールブルクリンクにおいて、量産している前輪駆動車で最速の称号を持つ。
そんなハイパフォーマンスなフランス車をワインディングで思い存分走らせる機会を得た。

Cセグメントの2ボックスカー、それにパワフルなエンジンを載せ、ハイチューンのアシ廻りを奢った、所謂 “ホット・ハッチ” と呼ばれるカテゴリィのクルマ。


“オランジュ トニック M” というカラーコードを持つ、すこうしくすんだオレンジ・ボディ。
19インチの “INTERLAGOS” ホイールは、なんとなく初代アウディ R8のホイールに似ているような気がする。
アルカンタラのスポーツシートは高級感の演出というより、より実益にフォーカスしていて好み。
チープなカード・キィを受けとって、エンジンをスタートさせる。
センターマフラーからソレなりに勇ましいエクゾースト・ノートが如何にもハイパフォーマンス・カーです、って主張してる。

6速DCTのギアボックスをDにシフトして走りだす。
ワインディングに向かう、市街地を交通の流れに合わせて、フツーのスピードで走らせているだけでも、アシ廻りの良さを感じることができる。
もちろん、高荷重のハードなセッティングなんだろうけど、フリクションなくよく動いて街中の小さなギャップをそれほど不快に感じることなく、いなす。

やがて山にたどり着き、センターコンソールに設えてる “RSボタン” をポチッとしてスポーツモードを選択すれば、エクゾースト・ノートがたちまち勇ましくなる。
誰も走っていないワインディングを一気に加速していく。
最初はセレクターレバーを “D” レンジに固定したまま、峠道を行ったり来たり。
そして身体がクルマとコースに慣れてきたところで、パドルシフトを駆使して、自分のタイミングでギアをアップ&ダウン。
どちらかといえば、中高速のコーナーが続くこのワインディングを数往復。

ああ、いいなコレ。
走らせていてとても楽しい。

1.8リッターのターボ・エンジンは、暴力的というほどではなく必要充分なパワーとトルクをピックアップよくデリバーしてくれる。
6速ツインクラッチなギアボックスはクイックでクルマのキャラクターによく合ってる。
マクファーソンストラットをベースとしたサスペンションは、ハードな部類のアシ廻りではあるけれど、しなやかによく動く。
そのアシ廻りには、ブレンボのブレーキシステム、オートバイのそれのようにコントーローラブル。
トルクベクタリング電子制御ディファレンシャルがいい塩梅に効いてるのか、ハイパワーFFであることを特に意識させられることもなく、とにかくニュートラルでステイブルによく曲がっていく。

4輪操舵システムの恩恵はよくわからなかったけど、走行性能イノチなこのクルマに採用されるくらいだから、アシストしてくれてるんだろう、きっと。

そのムカシ、3代目ホンダ プレリュード。
世界初らしい機械式4WSが搭載されていて、先輩の紺色プレリュードを運転させてもらったとき、狭い路地にある駐車場に停めようとして、その動きのヘンさ加減に、ビックリしたもんだ。
たぶん、アレ以来だな、4輪操舵システム搭載のクルマをドライヴしたのは。。。

フランス車の例に漏れずといっていいのか、プラスチッキィーでチープなインテリア、そっけないディスプレイシステム、クラスからすれば、思いのほか横幅がある車体、その分グラマラスでカッコイイんだけど、意外に重い車重。

そのあたりのことを受け入れることができたなら、もうコレでいいんじゃない。
走ることを愉しむことに、これ以上何が必要なんだろう?
ポジティヴな意味で、そう思った。

Navarra blue.







ナバーラ・ブルー。
アウディのラインアップにそんな名前の車体色があったなと、ふと思いだす。
ノーブルな深いブルーが印象的なカラー。
あぁ、そうか、このあたりの風景からあのカラー・ネイムをイメージしたんだな。
スペイン北部、バスク地方、ナヴァーラー州の優しく美しい丘陵地帯を駆け抜けていたときのこと。