bon voyage.






土砂降りのピレネー山脈の端っこ、バスク地方を目指して走る。
とにかくヒドイ雨だった。

山間部のワインディング・ロードに入ると、霧が濃くなり、ほとんど前が見えなくなった。
堪らず小さな町の広場に飛び込む。
クルマのドアを開けると、震えるほど寒い。
雰囲気あるブラッセリのカウンター、カプチーノの苦さと熱さが、心地いい。


ココはどこ、まだフランス?

午後のあいまいな時間のブラッセリにほとんど客がいなかった。
バーカウンターの向こうでヒマを持て余しているバリスタ?バーテンダ?は苦笑いしながら、、、

まだフランスだよ、国境までは30分くらいでいけるよ。

もう一杯、カプチーノを。

今日はどこまで行くんだい?

パンプローナまで。

もうしばらくかかるな、山間部は雨が強いだろうから気をつけて。

ありがとう、カプチーノ美味しかったよ、フランスはいいね、珈琲が美味しい。

どこから来たんだい?

アメリカ。

あぁ、、、そりゃそうだね。

ごきげんよう。

いい旅を。

Église Saint-Pierre






ボルドー地方からスペイン方面、A63を南へ。
なんとか今日中にピレネー山脈を越えるために急いでいた。

なぜかその途中で高速道路から外れる指示があり、深く考えずそれに従って一般道におりた。
フツーにいけばそのまま高速道路をドライヴしていけばいいはずなんだけど。。。

iPhoneのGoogle MapsアプリをApple Car play経由でフックアップしてカー・ナヴィゲイションとして使用しているのだけど、その指示に従ってると時々ヘンなことになる。

そんなこんなで一般道を走っていると、小さな村へ差し掛かった。
木々が両側に生い茂る旧い街道沿い、カーブの向こうに小さなカトリック教会がみえてきた。
ギアを丁寧に落とし、パーキングにクルマを滑り込ませる。
そして、しばし魅入る。
時折通り過ぎるクルマの音、その他には音らしい音はない。
木陰のベンチに腰かけて本を読んでいる女性が一人だけ。
静かにしずかに時が流れていく。
ゆっくりと、ほんとうにゆっくりと教会の周りを2週歩いてみる。
ただそれだけ、費やしたのは、ただそれだけの時間。

a wine paradise.








サン=テミリオン。
あっちもこっちも、どこもかしこも美しく整備されてる。
そんな小さなワインの村をブラブラと気の向くまま散策。

いいお天気。
馬を使って畑を耕してるらしき女性達にしばし魅入る。

何してんの?
ぼぉーっと眺めてる僕、笑顔をくれた女性に声をかける。

畑を耕してんのよ。
なんで馬?
ココでは、一切の機械を使わずに葡萄を育ててるからよ。
へー、なかなかオモシロそうだね、はじめてみたよこういうの。
そうなの?まぁでも、それなりにタイヘンなものなのよ。

なかなか言うことを聞かない馬たちに手を焼きながら、朗らかに笑う彼女達になんとなく違うフランスをみたような気がした。

美しい小さな村。
ワイン好きの人なら一週間いても飽きないんじゃないだろうか。
どこかへ旅すると、その土地のワインを必ず持ちかえってくる友人のことを想う。
彼女のようなヒトには、きっとパラダイスのようなところなんだろうな、ココ。