Pamplona







パンプローナ

アーネスト・ヘミングウェイ「日はまた昇る」
1960年代、奈良原一高「スペイン 約束の旅」
どちらにも、サン・フェルミン祭(牛追い祭り)が重要なモチーフとして描かれている。

パブロ・デ・サラサーテ。
10歳のときにはスペイン女王の前で演奏を披露したこともある、超絶技巧の天才ヴァイオリニストであり作曲家。

そして、チェーザレ・ボルジア。
塩野七生「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」
惣領冬実「チェーザレ 破壊の創造者」

このあたりが、僕にとってのパンプローナのすべて。
しかし「チェーザレ 破壊の創造者」ようやく12巻。
綿密なストーリィ、美しく丁寧な画はとても素的。そのためなのか、ストーリィがなかなか進まない。。。

チェーザレは、その人生の最期にこの城塞都市を訪れる。
彼が16歳で司教に任命された街。
旅路の果て、美しく小さなこの街は、彼の瞳に一体どのように映ったのだろうか。
惣領冬実氏は、その風景をどのように描くのだろうか。
早く続きが読みたい。

bon voyage.






土砂降りのピレネー山脈の端っこ、バスク地方を目指して走る。
とにかくヒドイ雨だった。

山間部のワインディング・ロードに入ると、霧が濃くなり、ほとんど前が見えなくなった。
堪らず小さな町の広場に飛び込む。
クルマのドアを開けると、震えるほど寒い。
雰囲気あるブラッセリのカウンター、カプチーノの苦さと熱さが、心地いい。


ココはどこ、まだフランス?

午後のあいまいな時間のブラッセリにほとんど客がいなかった。
バーカウンターの向こうでヒマを持て余しているバリスタ?バーテンダ?は苦笑いしながら、、、

まだフランスだよ、国境までは30分くらいでいけるよ。

もう一杯、カプチーノを。

今日はどこまで行くんだい?

パンプローナまで。

もうしばらくかかるな、山間部は雨が強いだろうから気をつけて。

ありがとう、カプチーノ美味しかったよ、フランスはいいね、珈琲が美味しい。

どこから来たんだい?

アメリカ。

あぁ、、、そりゃそうだね。

ごきげんよう。

いい旅を。

Église Saint-Pierre






ボルドー地方からスペイン方面、A63を南へ。
なんとか今日中にピレネー山脈を越えるために急いでいた。

なぜかその途中で高速道路から外れる指示があり、深く考えずそれに従って一般道におりた。
フツーにいけばそのまま高速道路をドライヴしていけばいいはずなんだけど。。。

iPhoneのGoogle MapsアプリをApple Car play経由でフックアップしてカー・ナヴィゲイションとして使用しているのだけど、その指示に従ってると時々ヘンなことになる。

そんなこんなで一般道を走っていると、小さな村へ差し掛かった。
木々が両側に生い茂る旧い街道沿い、カーブの向こうに小さなカトリック教会がみえてきた。
ギアを丁寧に落とし、パーキングにクルマを滑り込ませる。
そして、しばし魅入る。
時折通り過ぎるクルマの音、その他には音らしい音はない。
木陰のベンチに腰かけて本を読んでいる女性が一人だけ。
静かにしずかに時が流れていく。
ゆっくりと、ほんとうにゆっくりと教会の周りを2週歩いてみる。
ただそれだけ、費やしたのは、ただそれだけの時間。