Tanglewood

 

 

 

タングルウッド音楽祭。
マンハッタンから車で3時間弱、マサチューセッツ州の高原というか、山の中。
いうなれば、ボストンあたりの人々の夏の避暑地といったところだろうか。

ここは、BSO(ボストン交響楽団)の夏の活動拠点になっていて、キレイに整えられた芝生の広場に野外ステージが常設されている。

小澤征爾さんがBSOの音楽監督に就任する前に所長を務めていたのが、ここのミュージック・センターであり、彼の名を冠したホールもあったりします。

お昼の野外コンサート。
曲目は、ジョン・ウイリアムズのMarking(ワールド・プレミア)、チャイコフスキィのヴァイオリン協奏曲、インターミッションを挟んでベルリオーズの幻想協奏曲。
前半2曲のヴァイオリニストはアンネ・ゾフィー・ムター。
これは観ないわけにはいかない。
ニューヨークにいれば、彼女の演奏を聴くこともあるだろう、なんとなくは思っていたけど、なぜか今日までその機会は訪れなかった。

シャツもトラウザースも真っ白、上着を羽織らず、夏の爽やか演出の楽団メンバー。
しかし指揮者のアンドリス・ネルソンスだけが黒服なのはなんでなんだ。
鮮やかなピンクのマーメイドスタイル・ドレス(彼女のトレイドマーク)を身に纏ったアンネ・ゾフィー・ムター、そのヒトが登場すると、舞台はたちまち華やいだ空間になっていた。

常設とはいえ野外劇場、音響的にどのこうのいっても始まらない。
この夏の高原と煌びやかな音楽の雰囲気を愉しむことにしよう。

今回はお昼間のコンサート。日差しは強かったけど、劇場のシェイド下はとても快適だった。
10年前にもここに来たことがあるのだけど、その時は夜のコンサートだった。8月とはいえ陽が落ちると凍えるよう寒さ、音楽を聴くどころではなかったな。
それでも、夜のコンサートのほうが、ここならではといった雰囲気はあるかな。

タングルウッドの雰囲気を愉しむには、芝生広場に陣取って、のんびりと暮れていく真夏の高原の空気に触れながら、夜のとばりと音楽を、ワインに肴を飲りながら愉しむ。
ブランケットとダウンで温かくして。

同じ野外コンサートとはいえ、ニューヨーク・フィルハーモニックのセントラルパーク公演とは、客層も雰囲気もまったく違っていて、それぞれの街の雰囲気を映し出しているようで、そのコントラストがなんとも面白かった。

a concert in the park.

レギュラー・シーズン終わりのニューヨーク・フィル、初夏の恒例イベント「Concerts in the Park」。

ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」第2楽章 “Goin’ Home” (遠き山に日は落ちて)からスタート。
放課後感ハンパない夕暮れのセントラルパーク。。。

the end of the season.

New York Philharmonic / Alan Gilbert Season Finale [A Concert for Unity]

ニューヨーク・フィルの2016-2017 シーズン・ファイナル。
「A Concert For Unity」と題して、いつものニューヨークフィルのメンバー以外に世界中からゲストプレイヤーを招いて、ステージ上はたいへん賑やか。

シーズンを締め括る演出として、演奏の前に音楽監督であるアラン・ギルバート氏の挨拶や、アントニオ・グテーレス国連事務総長からのビデオ・レターが披露されました。

シーズン・ラストに選ばれた曲は、グスタフマーラー「交響曲第7番」
ギターや、マンドリンが楽団の中にいるちょっと変わった5楽章のピース。
もちろんアラン・ギルバート氏が指揮棒振って最後まで一気。

演奏の終わりの余韻を待つ間まもなく、喝采とスタンディング・オベイション。
一度袖に引っ込んだアラン・ギルバート氏はビール?らしき瓶を手に持って再び登場して、楽団員をパート毎にそれぞれ紹介し、最後にこの日集まったオーディエンスに手を振り、笑顔でステージを去って行きました。

アラン・ギルバート氏、母親が日本人のハーフ・ジャパニーズ。
日本人の演奏家も何人かこの楽団にはいます。
他にもアフリカ系や韓国系や中国系、ユダヤ系など種々雑多な人種構成なのは、ダイバーシティーなこの街らしいともいえる?

そして今シーズンをもってアラン・ギルバート氏はニューヨーク・フィルの音楽監督を退くことになっています。

ニューヨーク・フィルハーモニックにとって初めての地元ニューヨーク出身の音楽監督として2009年の就任当時は大きな話題になりました。
個人的にアラン・ギルバート氏が指揮するニューヨーク・フィルを聞くのは今シーズンが最初で最後の一年でもあり、どんなもんかと期待していました。

そんなわけで、この10ヶ月間、サブ・スクライバーとなって毎月ディヴィッド・ゲフィン・ホールにアシを運んだわけです。

で、一年を通してアラン・ギルバート氏の音楽を聴いてきて思ったことは、ロリン・マゼール氏の時代のニューヨーク・フィルの音のほうが好きだったな、ということ。。。

・・・まぁ、それはソレとして、来シーズンの新しい音楽監督が創る新しいニューヨーク・フィルの音を愉しみにしておくことにしよう。