Renault Megane R.S.






ルノー メガーヌR.S.
ドイツのニュールブルクリンクにおいて、量産している前輪駆動車で最速の称号を持つ。
そんなハイパフォーマンスなフランス車をワインディングで思い存分走らせる機会を得た。

Cセグメントの2ボックスカー、それにパワフルなエンジンを載せ、ハイチューンのアシ廻りを奢った、所謂 “ホット・ハッチ” と呼ばれるカテゴリィのクルマ。


“オランジュ トニック M” というカラーコードを持つ、すこうしくすんだオレンジ・ボディ。
19インチの “INTERLAGOS” ホイールは、なんとなく初代アウディ R8のホイールに似ているような気がする。
アルカンタラのスポーツシートは高級感の演出というより、より実益にフォーカスしていて好み。
チープなカード・キィを受けとって、エンジンをスタートさせる。
センターマフラーからソレなりに勇ましいエクゾースト・ノートが如何にもハイパフォーマンス・カーです、って主張してる。

6速DCTのギアボックスをDにシフトして走りだす。
ワインディングに向かう、市街地を交通の流れに合わせて、フツーのスピードで走らせているだけでも、アシ廻りの良さを感じることができる。
もちろん、高荷重のハードなセッティングなんだろうけど、フリクションなくよく動いて街中の小さなギャップをそれほど不快に感じることなく、いなす。

やがて山にたどり着き、センターコンソールに設えてる “RSボタン” をポチッとしてスポーツモードを選択すれば、エクゾースト・ノートがたちまち勇ましくなる。
誰も走っていないワインディングを一気に加速していく。
最初はセレクターレバーを “D” レンジに固定したまま、峠道を行ったり来たり。
そして身体がクルマとコースに慣れてきたところで、パドルシフトを駆使して、自分のタイミングでギアをアップ&ダウン。
どちらかといえば、中高速のコーナーが続くこのワインディングを数往復。

ああ、いいなコレ。
走らせていてとても楽しい。

1.8リッターのターボ・エンジンは、暴力的というほどではなく必要充分なパワーとトルクをピックアップよくデリバーしてくれる。
6速ツインクラッチなギアボックスはクイックでクルマのキャラクターによく合ってる。
マクファーソンストラットをベースとしたサスペンションは、ハードな部類のアシ廻りではあるけれど、しなやかによく動く。
そのアシ廻りには、ブレンボのブレーキシステム、オートバイのそれのようにコントーローラブル。
トルクベクタリング電子制御ディファレンシャルがいい塩梅に効いてるのか、ハイパワーFFであることを特に意識させられることもなく、とにかくニュートラルでステイブルによく曲がっていく。

4輪操舵システムの恩恵はよくわからなかったけど、走行性能イノチなこのクルマに採用されるくらいだから、アシストしてくれてるんだろう、きっと。

そのムカシ、3代目ホンダ プレリュード。
世界初らしい機械式4WSが搭載されていて、先輩の紺色プレリュードを運転させてもらったとき、狭い路地にある駐車場に停めようとして、その動きのヘンさ加減に、ビックリしたもんだ。
たぶん、アレ以来だな、4輪操舵システム搭載のクルマをドライヴしたのは。。。

フランス車の例に漏れずといっていいのか、プラスチッキィーでチープなインテリア、そっけないディスプレイシステム、クラスからすれば、思いのほか横幅がある車体、その分グラマラスでカッコイイんだけど、意外に重い車重。

そのあたりのことを受け入れることができたなら、もうコレでいいんじゃない。
走ることを愉しむことに、これ以上何が必要なんだろう?
ポジティヴな意味で、そう思った。

Burgos





カスティーリア高原、海抜900メートルにあるこの街は、少し肌寒くてグレイ。

レコンキスタの英雄、ロドリゴ・ディアス・デ・ビバール(エル・シド)とその妻が眠る町。
コロンブスが航海の報告へとイザベル女王を訪ねた町。
フランコがその総司令部を置いた町。
そんな歴史を持つ古都を、一日のんびりとスケッチしながら散策して過ごした。

サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路、その要衝、ブルゴス。
いつか自分のアシでこの巡礼路を歩きたいと思っているのだけど、その前に四国八十八ヵ所のお遍路さんだな。

Casa Pancho







Casa Pancho
その夜3軒目のドアを開けた頃には、夜のいい時間になっていた。
チャーミングなホテルフロントが勧めてくれた店のひとつ、このバルがなんともよかった。
料理が美味しくて、店員が陽気で、客が溢れていて、とにかく活気があって。

ピンチョス。
小さなポーションでいろいろなチョイスがあって、独り旅でもアレやコレやと愉しめる。
しかし、まぁ、全体的に、味が濃くて塩っぱい。
バルなんだし、お酒を飲ませるためのツマミなわけだから、それはそれで理にかなってる。
美味しいんだけど、とにかくお酒が進む、すすむ。
短時間で酔っ払いの出来上がり。
効率がイイといえばいいのか?

外にでると、少し肌寒くて、雨に濡れたタングステン色の古い町並みはキレイだった。

次の夜、このバルの前を通りがかったとき、スタッフが手を振って手招きする。そのフレンドリィな笑顔に2晩続けてこの店で食事することになった。
いい店だった、な。