Mt. Asashidake -a violent rainstorm.-








北海道に入った2日目、雨に降られながら大雪山、旭岳の麓の山荘に投宿した。

次の日早朝、雨降る中、レインギアをフル装備して旭岳ロープウエイの山嶺駅に向かった。
幸いロープウエイは稼働していて(前日は悪天候のため運休)、姿見駅まで労せず到達。
駅舎をでると、雨と霧、そして気温摂氏6.7度、だって・・・
冬山で使うアクティヴ・インサレーションを着てきて正解だった。
上はドライ・レイヤーに、メリノウールのベース・レイヤー、薄手のグリッド・フリースのミッド・レイヤー、その上にアクティヴ・インサレーション、そしてレインウエア。
下はドライレイヤーにトレッキングパンツ、そしてレインウエア。
まぁフル装備。
これで足りなければ、バックパックの中にダウンのインサレーションがある。
ただ、これを使わなければいけない状況って・・・

装備をすべて確認し、バックパックのストラップをアジャストし、レイン・グローブを着けて、いざゆかん。

散策路を足元を確かめながら、雨と霧の中、ゆっくりと歩を進める。
季節はチングルマ。ところどことに群生した白い小さな花が咲き乱れてる。
やがて姿見の池に至り、池のほとりには雪がまだ残ってる。
ここまで来ると、雨と霧に加え、強烈な風が吹いている。
第五展望台か少し下り旭岳石室へ。
ココは避難小屋になっていて、中には結構人がいた。
山荘で持たせてもらった、おにぎりのお弁当をほおばりつつ、しばらく天候の好転を待ってみる。
避難小屋には登山者がやってくる。
これから登ろうとしているヒトや、いち早く登りはじめたが途中で撤退したきたヒト。

・・・しばらく時間をやりすごし、バックパックを背負い直し、ストラップを締める。
これ以上待っても天候の好転はあまり期待できそうにないかな、そう判断した。
さて、どうしよう、ほんのわずか逡巡したけど、いけるとこまでいってみよう。
避難小屋の扉を開けると、あいかわらずの雨と霧、そして強風。
うーん、やめるか、と思わなくもない。
しかし、時間はまだ早い、体力も充分、イケる。
よし、登ろう。

ここからは散策路を離れ登山道、土と石と岩、足元を確認しながら慎重に登っていく。
上からヒトが降りてくる、すれ違うときに状況を確認すると、撤退してきたらしい。
六合目を過ぎ七合目へ、ますます霧と雨と風、状況はどんどん悪くなる。
七合目を過ぎてしばらくいくと、突風で体が浮き上がりそうになった。
なんとか八合目にたどり着く、しかし、霧も雨も風もどんどん強くなり、耐風姿勢をとっても暴風に身体がどこかにもっていかれそう。
まわりには誰もいない、視界にはただ奥行きのない真っ白な世界が映るだけ。

ここまで、カナ?

まだ体力は充分ある、お腹も空いていない。
水もある、行動食もある。
イケなくはない。

ここから先どこまでいけば満たされる・・・

撤退を決めた。
達成できなかったときの感覚を抱えながら、来た道を下っていく、状況はあいかわらずだ。
登ってくるヒトが数人、声をかけられ、自分は八合目までいったけど、コンディション好転が見込めないので撤退することを伝えると、彼等も撤退することに決めた。
もちろん、このテの判断は、それぞれ個人のものだ、良い悪いではない。

姿見の駅まで戻ってきて、ゆっくりと長く息をはいた。

Psychedelic Hip






KEEN UNEEK / ORIGINAL TIE DYE/BIRCH
夏のサンダルを買った。
あまりにも暑くて。
KEENの定番、ユニーク。
ORIGINAL TIE DYE/BIRCHというモデル。

最初は夏らしいホワイトとか、ベージュあたりの明るい色、爽やかな感じで履けていいかな、と考えてた。
だがしかし、この蒸発してしまいそうな夏にアタマがやられてしまったのか、買ってしまったのは、なんかすんごいカラー。
なに?サイケでヒップで、レインボウカラーっていうの?

吉川晃司の楽曲で「サイケデリックHIP」っていうのがある。
それは彼がリリースしたオリジナル・アルバムとしては4枚目になる「MODERN TIME」に収録されていたナンバーで、彼自身が作詞作曲したピースだった。
それまでの3枚のアルバムは、いかにもアイドル然としてた当時のJポップって感じだったけど、この4枚目の「MODERN TIME」から “吉川晃司” そのものが色濃く表れてくるようになったな、と思ってる。
1枚目のアルバム「パラシュートが落ちた夏」はいかにも当時のアイドルチックな体裁でリリースされ、2枚目のアルバム「LA VIE EN ROSE」は角松敏生的とでもいうのかな、シティ・ポップな雰囲気を纏った夏っぽいサウンドだったし、それも好きだだったけど。
3枚目のアルバム「INNOCENT SKY」は、当時のアイドルとは明らかに違ったベクトルで音楽を指向したミュージシャンとしての “吉川晃司” が現れてきていて、いまでも好きな一枚。
少年時代の僕に、彼は、なんというか、憧れのヒーローだった。

その後にリリースされた「SATISFACTION FAKE」というリミックスアルバムに、ダンスチューンにアレンジされた「Psychedelic Hip」が収録されていて、これもクールな1ピースだったな。

先日東京ドームで開催された、布袋寅泰とのユニットである “COMPLEX” としての名義で能登半島地震の復興支援チャリティー・コンサート「日本一心」で、彼と布袋寅泰を久しぶりに観た。
カッコよかった。
いまでも、あの頃のようにグッドシェイプで、吉川(あえて呼び捨て!)はいまもキッカワのままで、やっぱりカッコよかった。

しかし、あらためてながめてみても、このサイケでヒップなサンダル・・・テイストぢゃないなー。。。
どうしてこんなの買ったんだろ?
ぜんぶこの夏の暑さのセイ、そうに違いない、間違いない!

Audi A7 Sportback 40TDI quattro






Audi A7 Sportback 40TDI quattro
アウディにおけるEセグメントのスペシャリティ、4ドア(5ドア)クーペ。
同じアウディのDセグメントであるA5シリーズは、2ドア、4ドア(5ドア)、カブリオレ(オープントップ)とバリエイションがあるのに、A7は4ドア(5ドア)クーペのみ。とはいっても専用設計というわけではなく、ベースになるのは同じEセグメントのA6シリーズと、エクステリア以外のほとんど全てを共有してる。
このあたりが、他のジャーマン・ブランドのラインナップと較べると、アウディの弱いところかな。
まぁ、Eセグメント以上のクラスになるとカンパニーカーとしての定番のセダンと今どきのSUV以外は、どこもそれなりに苦労しているようにみえるし、そのなかではメルセデス・ベンツがリードしているのだろうけど、BMWはもとよりAudiはなかなか苦労してるんじゃないだろうか。

何はともあれ、A7 Sportback 40TDI quattroを3日間ほど、350km程度の距離を走らせる機会を得た。
どうやら、日本に導入されている最も廉価なモデルらしい。
シャシーはおなじみ “MLB Evo” 、ギアボックスこれもおなじみ7速 “S-tronic(Dual Clutch Transmission – DCT)” 、エンジンは以前走らせたAudi A5 Sportback 35 TDI advancedと同じ2リットル・ターボ・ディーゼル。
ただしスペックは車体の大きさというか重さに配慮してか、それなりにパワーアップしてる。
とはいっても、204PS / 40.8kgmのパワー&トルクなので、1850kgの車重をドライヴするには非力といってもいいかも。

走らせてみると、そのスペックどおりといえばいいのか、全体的にマッタリなフィール。
僕にとってのアウディのリファレンスはB8世代のA5 sportback 2.0 TFSI quattro。
それは単純に最初に所有したアウディであり、6年あまり歳月を共にした相棒だったから。
これが、340PS / 51.0kgmを発生させる3リッターV6エンジンを積んだ55 TFSI quattroだったら、また違った印象になったかもしれない・・・

Eセグメントというクラスなりに求められるフィールってある。
それはアウディに限らず、メルセデス・ベンツやBMWでも同じことだと思う。
つまり、Eセグメント以上のモデルは所謂高級車のカテゴリィとして扱われているような気がする。
高級車って何?って聞かれると、ちょっと口ごもってしまうけど、まぁ、平たく言えば、自分(ドライヴァー)以外を乗せて、というか、リアシートの居住性にも快適性にウエイトを置いているかどうか、そういうことかな。

つまりショーファー・ドリヴンとしてのクルマの存在ということではないかと。
もし、そうであるとしたら、このA7 Sportbackをはじめ、メルセデス・ベンツ CSLやBMW 8シリーズといった4ドア(5ドア)のクーペスタイルのボディを纏ったクルマの存在理由ってナニ?
メルセデス・ベンツ Eクラス、Sクラス・クーペ、BMW8シリーズ・クーペやレクサス LC、もっといえば、ベントレイ・コンチネンタルGTといった、Eセグメント以上の大型2ドア・クーペは、実用域の向こうにある、なんというかムダ・・・というか、ラグジャリィーだよね、というのがそのアピアランスを持って、あぁ、これってフツーに家族で乗るクルマじゃないよね、って万人に理解できるんじゃないかと思う。

しかし、このA7 Sportbackという、中途半端なサイズのクーペ・ルックのしかも4ドア(5ドア)とかって、どこか実用性を求めているにもかかわらず、ラグジャリィでしょ?的なクルマの立ち位置って、どうなんだろ?
アメリカ的な “プロムナード・カー” でもなく、伝統的なクーペでもない。
スタイリッシュ、もしくはスリークなクルマが好きだけど、家族や荷物を乗せなきゃならないし、でもいろいろな制約があって、1台のクルマで賄わなければならない、なんというか中途半端なクラスタに向けたクルマという解釈でいいのかな?

個人的には、2ドアでなく動力性能が同じか劣るなら、Eセグメントである必然性はなく、Dセグメント、つまりA5 Sportbackでイイかなと。
Eセグメント以上は、高級車のカテゴリィに属するとすれば、4ドア・セダンやワゴンといったショーファードリヴンとしての実用性、もしくは2ドア・クーペないしカブリオレといったラグジャリィな方向性がこのクラス以上のクルマのレゾンデトールじゃないかな。
かなり偏った考え方かもしれないけどね。

それでも、ファストバック・スタイルのルーフラインはエレガントで麗しい。